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事実の概要

本件は、発明の名称を「内型枠構造」とする特許(以下、「X特許1」)の特許権を有しているX(原告)が、Y(被告)に対し、Yによるトンネル用内型枠(以下、「Y製品」)の業としての製造、販売、貸渡しがX特許1の特許権を侵害するものであるとして、Y製品の製造、販売、貸渡しの差止めと、Y製品およびその半製品の廃棄を求めるとともに、特許権侵害による損害賠償等を求めたものである。¶001

Yは、X特許1の出願日(平成17年9月27日)より後に情報公開法(行政機関の保有する情報の公開に関する法律)に基づく行政文書の開示請求を行い、遅くとも平成15年12月に作成された、祝園分屯地の貯蔵庫建設工事に際して作成されたセントル(トンネルの壁面にコンクリートを打設するための円筒形・半円筒形等の型枠)の完成図面(以下、「乙4図面」)の開示決定を受けた。Yは、乙4図面にX特許1の発明が開示されていると主張し、乙4図面について、①情報公開法により何人も入手できるものであるから、特許法29条1項1号の公然知られたものに該当する、また、②情報公開請求により公開されるべき文書であるから、情報公開法による開示請求が可能となった時点から、特許法29条1項3号の刊行物に該当するとして、X特許1には無効理由があると主張した(なお、貯蔵庫建設工事の実施による公知性の有無なども争われたが、本稿では標題に掲げた論点に関する部分に限って事実と判旨を紹介し、解説する)。¶002