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はじめに

本特集の別稿で詳述されたとおり、AIに関するハードロー及びソフトローの整備は各国で急速に進んでいる。もっとも、こうした法制度は、AIシステムやサービスを提供している事業者によって履行・実践されることで初めて意味をもつ。それでは、法の適用を受ける企業としては、これらの法やガイドラインに従うことで適切なAIガバナンスを実践できるのだろうか。実は、それほど単純なことではない。AIという技術に内在するブラックボックス性や、技術進歩の速さを踏まえると、法律やガイドラインに特定の行為義務や禁止事項を書き込むことには限界がある。すなわち、企業としては明確な「模範解答」が示されない中でコンプライアンスやガバナンスに取り組まなければならないのである。それでは、日本企業の取組は実際にどの程度進んでいるのだろうか。そして、そこにはどのような課題があるのだろうか。¶001