事実の概要
Y市(那覇市)市長は、Y市が設置管理する都市公園(松山公園)内に、儒教の祖・孔子等を祀った久米至聖廟(以下、「本件施設」という)の設置をZに許可し、その敷地の使用料を全額免除した。本件は、Y市市長がZに公園使用料を請求しないことは違法に財産の管理を怠るものであるとして、住民Xが地方自治法242条の2第1項3号に基づき上記怠る事実の違法確認を求めた住民訴訟である。¶001
Zは久米三十六姓(約600年前から約300年間にわたり中国から琉球に渡来してきた人々)の末裔のみに会員資格を限定した一般社団法人で、本件施設などの公開、久米三十六姓の歴史研究、論語を中心とする東洋文化の普及等を目的とする。久米三十六姓は17~18世紀に久米地区に当初の至聖廟等を設置し、1915年以降はZの前身がこれを所有・管理していたが、第2次大戦で焼失した。その後、市内の別地区に至聖廟等が再建されたが、1999年、Y市が久米地区内の土地を国から買い取り、都市公園の一部に取り込む計画を持つことを知ったZは、ここに至聖廟等を移転すべくY市への要請活動を開始した。Y市は2003年に松山公園周辺土地利用計画案を策定し、2006年に国有地の一部を取得、一部につき国有財産無償貸与契約を締結した。2011年にY市市長(当時)はZに本件施設の設置許可と公園使用料の全額免除処分を行い、2013年には本件施設の新築工事が完了、2014年には設置許可と使用料免除の更新が行われた。¶002