裁判書面における生成AIの使用とハルシネーション

生成AIは、本格的な登場からわずか数年で、我々の生活を一変させた。その影響は法律分野にも及び、すでに一部では生成AIを用いたリーガルサービスも実用化されている。しかし、この画期的な技術には、当然ながら課題も存在する。その1つが、生成AIが作成した文章に、虚偽の情報が含まれるハルシネーション（幻覚）である。¶001

その課題を先取りするような決定が、アメリカにおいて出された（Jaiyong An v. Archblock, 2025 WL 1024661, at *1（Del. Ch. Apr. 4, 2025））。この事案は、デラウェア州のエクイティ裁判所において、申立人が本人訴訟としてディスカバリー強制の申立てを行ったが、その申立書には、複数の法律的誤りが存在したというものである。なお、デラウェア州はイギリスに由来するエクイティ裁判所制度を現在も維持し、特にこのエクイティ裁判所は企業関係紛争を処理する裁判所として名高い。¶002