事実の概要
(1)
公的年金では、1973(昭和48)年に、前年度における年度平均の全国消費者物価指数(物価指数)と前々年度の物価指数とを比較し、その変動の比率を基準に年金額を改定する制度が導入された(物価スライド制。物価指数はその後年平均単位での変動比率を基準とすることとされた)。¶001
(2)
2000(平成12)~2002(平成14)年度の年金額については、前々年と比較した前年の年平均物価指数の変動比率は、2000年度でマイナス0.3%、2001・2002年度で各マイナス0.7%であったので、減額改定がされるはずであったが、当時の厳しい社会経済情勢等に鑑み、特例法が制定され、前年度の額に据え置くという措置が講ぜられた。この結果、2002年度の段階で、特例法が適用されなかった場合の年金額(「本来水準」)と比較し、1.7%(=0.3%+0.7%+0.7%)高い水準で支給されることになった(以下、特例法の適用により生じた年金額の水準を「特例水準」という)。2003(平成15)・2004(平成16)年度では、前々年と比較した前年の年平均の物価指数の変動率は、各マイナス0.9%・マイナス0.3%であったため、2.6%(=1.7%+0.9%)・2.9%(=1.7%+0.9%+0.3%)の減額改定がされるはずであったが、特例法により、特例水準による年金額を基準として、2001年と比較した前年の物価指数の変動の比率分(2003年度分につき0.9%、2004年度分につき1.2%〔=0.9%+0.3%〕)のみ減額改定された。この結果、2003・2004年度における年金額は、本来水準による年金額と比較しておおむね1.7%高い水準となった。¶002