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Ⅰ. アフィリエイト広告1)に関する問題の所在

近時アフィリエイト広告での不当表示が不当景品類及び不当表示防止法(以下「景表法」という)上の大きな問題となっており、消費者庁が「アフィリエイト広告等に関する検討会」(第1回・2021年6月10日)を開催し、本年中を目途に一定の結論を得ることを目指している2)¶001

アフィリエイト広告では、商品供給者(以下「広告主」という)がアフィリエイターに対して支払う成功報酬がアフィリエイト広告を通じて商品が販売等された場合にのみ発生するため、広告主にとっては低費用でかつ費用対効果が見えやすい(リスクの少ない)広告方法であり、市場規模の小さい商品を供給する事業者にとっては魅力的であり得る。低費用かつ低リスクというメリットは、同じくインターネットの技術進歩により実現した検索連動型広告とも共通するが、アフィリエイト広告ではアフィリエイターが創意工夫を凝らしてアフィリエイト記事3)を作成することが期待できるので、バナー広告を見せるだけでは消費意欲を喚起しにくい、消費者を説得するコストが高い商品について、独自の存在価値があり得る。他方で、アフィリエイト広告においては、通常多数のアフィリエイターが記事を作成・投稿するため、広告主がすべての記事の内容を確認することは事実上不可能であり(しかも、広告主とアフィリエイターとの関係は、アフィリエイトサービスプロバイダー〔ASP〕を通じた間接的なものでしかない)、アフィリエイターが成功報酬を求めて不当表示を行うインセンティブが働きやすく、不当表示が行われやすい4)¶002