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Ⅰ はじめに

サイバー対処能力強化法整備法(令和7年法律第43号)を構成する改正警察官職務執行法(以下、「改正警職法」という)並びに改正自衛隊法は、この度の一連の法整備の要、つまりサイバー攻撃を未然に排除し被害拡大を防止することを目的とする、いわゆるアクセス・無害化措置を定める。これは、現実空間を前提とする警職法に、サイバー空間に対応した新たな権限を加えるものであり、サイバー攻撃に対する従来の対処レベル1)を大きく引き上げるものである。本稿は、紙幅の関係上、警職法に定められたアクセス・無害化措置の要件と内容並びに手続を中心に、法的統制という観点からポイントを絞って両法改正の意義と展望について示すことにする。本論に入る前に、まずはサイバー空間における安全保障任務の特徴とその法的課題について確認しておきたい。¶001