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事実

本件は、X(上告人)が、Y(被上告人)の所有する土地工作物である駐車場の瑕疵により自動車で進行中に傷害を負ったと主張して、Yに工作物責任に基づく損害賠償を請求した事案である。¶001

ここには重要な背景事情が3つある。第1に、Xには過失があるとともに、身体的素因としての疾患があり、素因減額を行った後の額に過失相殺をする形で賠償額が減額されている。第2に、Xが事故に遭ったのはAを使用者とする自動車を運転中であったが、Aが自動車保険契約を締結していた訴外保険会社Bから、上記障害による損害について人身傷害保険金1)の支払を受けている。第3に、被保険者が上記傷害を被った時に既に存在していた身体の障害又は疾病(以下「既存の身体の障害又は疾病」)の影響により、上記傷害が重大となった場合には、Bはその影響がなかったときに相当する金額を支払うとする条項(以下「本件限定支払条項」という)があった。¶002