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Ⅰ はじめに

2025年3月、日本で放送が始まってから100年を迎えた。インターネットの普及に伴い、映像・音声メディアの多様化が進んでいるが、テレビやラジオは今なお人々にとって最も身近なメディアの1つであると言えるだろう。本稿では、そうした放送の歴史について、制度面に焦点を当てて振り返ることにしたい。¶001

制度について考える理由としては、放送事業が、新聞や雑誌などのプリントメディアとは異なり、法令に基づく規律を含めた制度の存在を前提にしている点が挙げられる。それは、検閲を含む厳しい規制が存在した戦前はもちろん、憲法によって表現の自由が保障された戦後においても当てはまる。放送事業を開始するにあたっては、国による免許や認定が必要であり、放送内容についても、政治的公平や論点の多角的解明といった番組内容に関する規律を守る必要がある。放送メディアについて考える上では、事業運営全般に関してさまざまな制度的規律が設けられている点を踏まえる必要がある。¶002