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Ⅰ はじめに

日本で放送が始まってから100年になる2025年は、「普通選挙法」と「治安維持法」の公布から100年(いわゆる昭和100年)、そして敗戦から80年にあたる。放送の自主自律について語る余地のなかった戦前の法制度に対し1)、いわゆる電波三法(放送法、電波法、および電波監理委員会設置法)を土台とする戦後の放送法制度は、放送の不偏不党、真実、および自律の保障の下(放送1条2号)、健全な民主主義の発達(同条3号)に資する放送の機能の実現を目指してきた。受信料制度を合憲と判断した2017年の最高裁判所大法廷判決(最大判平成29・12・6民集71巻10号1817頁)も、憲法21条の表現の自由の保障の下、放送は国民の知る権利を実質的に充足し、健全な民主主義の発達に寄与すると説いている。¶001