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 事実の概要 

X(申立人・抗告人)は、令和4年に、いずれもアフガニスタン・イスラム共和国(以下、共和国という)国籍を有していた父母の間の子として愛知県豊橋市内で出生した。この頃までに、共和国は、その全土がタリバンによって制圧、占有されるなどして国家の要件を欠くに至り、Xの父母はいずれも無国籍となっていたため、Xは、日本で生まれ、かつ、父母がともに国籍を有しない子であり、国籍法2条3号後段の要件を満たすなどと主張して、日本国民として就籍の許可を求めた。原審(名古屋家豊橋支審令和5・11・22 LEX/DB 25620947)は、Xの父母は、共和国および首長国(アフガニスタン・イスラム首長国)間における合意や首長国における立法等により左右される不安定な法的地位にあるものの、結局のところ、国籍の離脱等の手続をとらない限り、継続して共和国または首長国の国籍を有しているものと考えられ、少なくとも、国籍法2条3号にいう「父母が……国籍を有しないとき」には当たらないものといわざるを得ないとして、Xの申立てを却下した。これに対して、Xが抗告したのが本件である。なお、Xの父母と姉は、「国籍・地域」を「アフガニスタン」として、難民認定されている。¶001