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 事実の概要 

民間事業者であるA(JR東海)が、官公庁発注の競争入札に類似する競争見積手続を採用して発注したリニア中央新幹線工事のうち、品川駅および名古屋駅の新設工事(本件の「一定の取引分野」)において、原告X1(大成)およびX2(鹿島)を含むスーパーゼネコン4社が、受注予定者を事前に決定し受注予定者以外の者がその受注に協力する旨の合意を交わした。¶001

この合意により「競争見積手続等に参加するか否か、その見積価格を幾らとするかなど」「事業活動が事実上相互に拘束され」、不当な取引制限に該当し独禁法3条に違反するとして、公取委は4社に対して刑事告発のほか、排除措置命令の行政処分を行った(公取委排除措置命令令和2・12・22審決集67巻378頁)。これに対してXらが取消しを求めたのが本件である。刑事裁判においては、民間発注の案件であっても4社すべてに対して不当な取引制限の有罪判決が下されている(東京高判令和5・3・2審決集69巻315頁)。¶002