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 事実の概要 

X社(原告・被控訴人)は、印刷関連機器等の製造販売を行う株式会社であり、東京証券取引所の上場会社である。Y社(被告・控訴人)は、訴外A社の完全子会社であり、A社を中心とする企業グループにおいて投資事業を担当する株式会社である。また、Y社は、令和3年9月6日、制度信用取引によって買い建てていたX社株式162万100株を売却し(本件売付け)、現物取引によりX社株式162万100株を前記売却代金と同額で買い付けた(本件現物買い)。Y社は、本件売買の時点で、X社の主要株主(金融商品取引法〔以下「金商法」とする〕163条1項・164条1項)であった。X社は、X社の主要株主であるY社がX社株式を自己の計算において買い付け、その後6か月以内にこれを売り付けて利益を得たとして、金商法164条1項に基づき、当該利益および遅延損害金の支払いを求めた事案である。なお、本件の背景事情として、Y社らによるX社株式の買い集めが行われていた(最決令和3・11・18金判1641号48頁)。¶001