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 事実の概要 

X(原告・控訴人・被上告人)は労働者災害補償保険法(以下「労災保険法」)に基づく業務災害に関する保険給付(以下「労災保険給付」)の連続する3保険年度中の労働災害の多寡に応じて一定範囲内で納付すべき労働保険料額を増減させる「メリット制」(労働保険の保険料の徴収等に関する法律〔以下「徴収法」〕12条3項)の適用を受ける事業の事業主(以下「特定事業主」)である。Xの支局に勤務するA(補助参加人)に労災保険法に基づき療養補償給付および休業補償給付の支給処分(以下「本件支給処分」)が行われたのに対して、Xは将来納付する保険料額が増大して直接具体的な不利益を被るおそれがあるとしてY(国─被告・被控訴人・上告人)に本件支給処分の取消しを求めて出訴した。第一審(東京地判令和4・4・15労判1285号39頁)はXの原告適格を否定して訴えを却下したが、原審(東京高判令和4・11・29同労判30頁)はこれを肯定して原判決を取り消し第一審に差し戻したためYおよびAが上告受理申立てを行った(Yの申立ては二重上訴として不受理とされたが、Aの上告受理申立て理由書提出期限内にYから提出された同理由書の論旨は審理対象とされている)。なお、前置される審査請求において北海道労働者災害補償保険審査官は、Xには審査請求人適格がないとして却下の決定をしている。¶001