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はじめに

放送法64条1項は、「〔日本放送〕協会の放送を受信することのできる受信設備……を設置した者は、……協会と受信契約を締結しなければならない」と規定している1)。NHK(日本放送協会)の受信料制度に対しては近年不満の声が高まりつつあるが、放送法の定める受信契約の締結義務に限っていえば、「契約の自由に反するのではないか」という素朴な疑問が思い浮かぶ。実のところ、NHKにもそうした類いの質問が数多く寄せられているようで、公式サイトの「よくある質問集」には疑問文の見出しとともに以下のような回答が掲載されている。本稿ではこの回答文を素材にして、筆者の専攻する基礎法学の観点から「契約の自由」について考えてみたい。¶001