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はじめに

近代法が前提としてきた人間観は、いま少しずつ揺らいでいる。というと唐突に聞こえるだろうか。しかし、人と人との関係だけでなく、人とモノ、人と身体、人と自然との関係は変化しつつある。そして一見ばらばらに見えるこれらの動きは、「誰を主体として法を構想するのか」という共通の問いにつながっている。こうした変化は、これまで当たり前とされてきた人間のとらえ方、そして人間を中心に法をとらえる枠組みを、あらためて見直すことをうながしている。法人類学というと、伝統的な慣習法や村落の寄合を思い浮かべる読者もいるかもしれない。しかし文化人類学は、人とモノが混ざりあう場面から社会を考えてきた学問でもある。以下では、その視点から近年の研究動向を紹介してみたい。¶001