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* 西村あさひ法律事務所・外国法共同事業 弁護士。¶001

Ⅰ 広報領域に潜む法的リスク・コンプライアンスリスクの特徴

第4回から、広報領域に潜む法的リスク・コンプライアンスリスクについて取り上げる。広報領域に潜む法的リスク・コンプライアンスリスクには、企業における他の業務領域における同種リスクとは異なる特徴がある。¶002

広報の目的そのものからして、広報領域における業務の成果物(広告やテレビCM、プレスリリース、SNSでの情報発信等)は、社外かつ不特定多数の人の目に広く触れるものであるため、これらの成果物にコンプライアンス上の問題があった場合、外部の目によって問題が発見されやすく、指摘も受けやすい。また外部からの指摘を受けた時点で、成果物は公表済みであり、外部の多くの目に晒されていることから、企業として、当該成果物の公開を取りやめても、一連の問題をなかったことにはできない(デジタルタトゥーの問題)。そして、広報領域の業務は、企業の“顔”としての業務でもあるところ、当該領域においてコンプライアンス上の問題を生じさせてしまった場合には、企業のレピュテーションの毀損に直結する。¶003