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事実の概要

(1)

X(原告・控訴人・上告人)は、昭和5年9月4日当時に警視庁巡査であったAと結婚し、子ども4人をもうけた。昭和22年5月頃からAは東京都農業会に勤務した。Aは昭和27年5月頃からBと親密になり、家庭を顧みなくなり、昭和28年7月13日に、子どもへの養育料の支払い等についての協約書を取り交わした上、AはBと同棲した。¶001

その後、AはXと再び同居したが、昭和31年6月頃AはCと親密になり同年11月再度家を出て、Xとは別居するに至り、離婚を希望する旨の書面を作成した。さらに、警察恩給を昭和39年11月30日までXが直接受領することを承諾する旨の書面をXに交付するとともに、養育料の支払いを約した。その後、Aは死亡する昭和43年8月4日までCと共に生活し、その間一度もXの元には帰らなかったが、Xに養育料の仕送りを続け、警察恩給をXに全額受領させていた。Xは別居以来、再び正常な婚姻関係に復させるための働きかけはしなかった。¶002