FONT SIZE
S
M
L

事実

本件は、労働組合員である被告人両名(被告人A及びB)が、他の組合員らと共謀し、会社の取締役らを脅迫して、組合に加入した同社の日雇運転手の正社員化やその子の保育所継続利用のための就労証明書の作成等を要求したとして強要未遂罪で起訴された事案である。第1審判決(京都地判令和2・12・17刑集77巻6号322頁)を破棄した原判決(大阪高判令和3・12・13刑集77巻6号345頁)が事実誤認審査(刑訴382条)を適切に行ったものといえるかが問題となった。¶001

第1審判決は、被告人両名らによる一連の要求行為のうち、就労証明書の作成等を要求した行為について、会社に就労証明書を作成等すべき法令上又は信義則上の義務はなく、被告人両名らの行為は脅迫に該当するとして、強要未遂罪の共同正犯の成立を認め、被告人Aを懲役1年、3年間執行猶予に、被告人Bを懲役8月、3年間執行猶予にそれぞれ処した。¶002