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Ⅰ　はじめに

本稿では、投資分野における気候変動訴訟、すなわち外国投資家が投資受入国の気候変動政策の国際投資協定（IIAs）違反を主張して申し立てる投資仲裁（以下、気候変動関連投資仲裁）について論じる。¶001

IIAsは、二国間投資条約（BITs）の形をとることもあれば、自由貿易協定（FTAs）・経済連携協定（EPAs）の一部を構成する投資章として定められることもある。特に気候変動関連投資仲裁において重要なIIAは、エネルギー分野の投資について定めた多数国間条約であるエネルギー憲章条約（ECT）で、2024年末現在47の国と地域機関が締約国となっている。¶002