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事実
Ⅰ
本件は、被告人が、当時の被告人方において、出産したえい児2名(以下「本件各えい児」ともいう)の死体を段ボール箱に入れた上、自室の棚上に置いたところ、2日後に本件各えい児が発見され、死体遺棄罪に問われたという事案である。¶001
Ⅱ
第1審において、被告人は、被告人の行為が、埋葬の意思のもとに行った安置行為であり、遺棄には当たらず、故意も認められない上、死産当日の被告人に葬祭義務の履行について期待可能性は存在しない旨主張したが、第1審判決(熊本地判令和3・7・20労旬2009号68頁)は、いずれも排斥して、「被告人がその頃出産したえい児2名の死体を段ボール箱に入れた上、自室に置きつづけ、もって死体を遺棄した」旨の犯罪事実を認定し、被告人を懲役8月、3年間執行猶予に処した。¶002