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Ⅰ 事実
Y(被告・被控訴人・被上告人)は、性自認が女性で身体的性別が男性であった。Yは、性同一性障害者の性別の取扱いの特例に関する法律(以下「特例法」)に基づいて男性から女性への性別の取扱いの変更の審判を受けるため、ホルモン注射の治療を受けるなどの準備を進めていた。その間、YとZ(X1〔原告・控訴人〕とX2〔原告・控訴人・上告人〕の母)は交際するようになり、Zは、Yの凍結保存精子を用いた生殖補助医療により、X1を懐胎し、出産した。その後、Yは、性別適合手術を受けた。Yは、X1の出生の事実は知っていたが、そのことを家庭裁判所に申告しないまま、特例法3条に基づき、女性への性別の取扱いの変更の審判を受け、同審判が確定した。その後、Zは、Yの凍結保存精子を用いた生殖補助医療により、X2を懐胎し、出産した。Yは、X1及びZの本籍地であるAに対し、認知される子をX1及びZの胎児とする各認知届出をしたところ、Aは、Yの法的性別が女性であることなどを理由に不受理とした。X1及びX2とYの間には、DNA鑑定により生物学的父子関係が認められている。X1とX2は、Yを被告として認知の訴えを提起した。¶001