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はじめに
本判決は、宗教団体に対する献金を勧誘する行為が違法であることを理由とする損害賠償請求権等につき、これを目的とする不起訴の合意を無効とするとともに、違法性判断のあり方について詳細な判断を下した。それは、時局の課題への応答であるとともに1)、様々な法理を動員して問題解決にあたった点において、契約法全般に射程を及ぼすものでもある。以下、本判決を概観し(Ⅰ)、分析する(Ⅱ)。¶001
Ⅰ 判例
1 事実の概要
(1)A(1929年生・女性。2021年7月に死亡後、X〔原告・控訴人・上告人〕が訴訟を承継)は、1953年にB(2009年に死亡)と婚姻した。¶002