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概要

アメリカでは、企業において内部通報を行った被用者に対し、使用者が不利益人事を行うことは、サーベンス・オクスリー法(SOX法)により禁止されている。¶001

2024年2月8日、連邦最高裁は、独立性が求められるリサーチ・ストラテジストであった被用者が、所属組織に有利なレポートを書くよう不当な圧力をかけられ、それを上司に報告した結果解雇されるにいたったという事案において、被用者が不利益人事に対するSOX法による救済を求めるには、当該人事に関する使用者の「報復的意図」(retaliatory intent)まで立証する必要はなく、内部通報が当該人事の「一因」(a contributing factor)であることを立証すれば足りるとする判決を出した(Murray v. UBS Sec., LLC, 601 U.S. 23(2024))。¶002