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事実
X(原審債権者、抗告人)は、合成樹脂用加工機械の製造等を主たる事業としているジャスダック上場会社(訴外A社)の監査役である。一方、Y(原審債務者、相手方)は、投資顧問業、経営コンサルタント業、有価証券の保有・売買等を主たる事業としている有限会社であり、A社の約11%の議決権比率を保有する筆頭株主である。¶001
A社は、令和2年6月25日の定時株主総会において、買収防衛策を含めて全ての議案の承認・決議を行った。これに対して、YはA社に、買収防衛策廃止の件やA社取締役4名の解任の件等を目的とする臨時株主総会招集を書面により請求したが、A社は、当該請求に対応しなかった。そこで、同年7月12日にYは、さいたま地方裁判所に臨時株主総会の招集許可の申立て(同裁判所令和2年(ヒ)第14号)を行ったところ、同年9月8日に臨時株主総会招集許可が決定された。これを受けて、YからA社株主に対して、臨時株主総会(本件臨時株主総会)開催の招集通知(本件招集通知)、クオカード贈与に関する書面(本件当初書面)や委任状等の送付(総会は、同年11月6日午前11時開催)を行ったが、本件招集通知には、議決権を行使する株主に対し、一律2000円分のクオカードを贈与する旨の記載があった。¶002