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事実
Ⅰ
本件は、被告人が、特殊詐欺の一類型であるキャッシュカードすり替え型の窃盗(未遂を含む)とそのキャッシュカードを使用した払出盗に、すり替え役及び払出し役として関与し、複数の犯行に及んだ事案である。¶001
キャッシュカードすり替え型の犯行の手口は、一般に、警察官、金融庁の職員等になりすました氏名不詳者が、電話で、被害者に対し、キャッシュカードが不正に使用されている、詐欺被害を防止する必要があるなどと理由を付け、これから訪問する金融庁の職員等の指示に従って、その持参する封筒にキャッシュカードを入れる必要がある旨のうそを言い、金融庁の職員等になりすまして被害者宅を訪れるすり替え役が、玄関等でキャッシュカードを封筒に入れさせるなどした上、封印のための印鑑を取りに行かせ、その隙に、キャッシュカードを入れた封筒とあらかじめ用意したポイントカード等を入れて封をした偽の封筒とをすり替え、偽の封筒に封印をして、それと知らない被害者に、実際には偽のものである封筒を保管するように伝え、キャッシュカードを入れた封筒を持ち去るというものである。¶002