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事実の概要

本件の被審人である大阪バス協会は、大阪府内においてバス事業を営む者を会員とする事業者団体である。被審人の会員のうち貸切バス事業を営む者は59名であり、これらの者が保有する貸切バスの車両数は、地区内における貸切バスのほぼ全部を占めていた。本件当時、貸切バスの運賃等(運賃および料金)は、運輸大臣の認可を受けなければならなかったが、基準額(標準運賃)の上下それぞれ15%の範囲内であれば認可される仕組みであった。しかしながら大阪府の貸切バス市場では、かねてから、貸切バス事業者と旅行業者との取引上の力関係、旅行シーズンオフの需給関係の緩和等の理由により、旅行業者が旅行を主催し旅行者を募集して行う貸切バス旅行向け輸送については、認可運賃等の額を大幅に下回る運賃等による取引が大規模かつ経常的に行われており、それは会員貸切バス事業者のほぼ全体を通じて認められた。しかし、個々の会員貸切バス事業者が運賃等の引上げを図ることは、大手旅行業者に対する取引の依存度が大きいことなどから、困難な状況にあった。¶001