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事実の概要

X(原告・被控訴人・上告人)は、零細な個人会社であり、Y(被告・控訴人・被上告人)は、中小企業等協同組合法に基づく信用協同組合である。昭和35年7月、Xは、Yの組合員となり、以後2回にわたり数十万円の手形貸付を受け、その都度定期積金契約を結んでいた。同年10月31日、YはXに対し、弁済期を昭和38年8月30日として元本750万円日歩4銭(この年利自体は利息制限法の制限利息内)を貸し付けるという金銭消費貸借契約を締結した(本件貸付)。ただし、Yは、本件貸付の条件とした2口の定期積金契約の1か月分の掛金、定期預金200万円、Yの組合員としての追加出資金50万円、弁済期までの利息、諸費用等を控除したため、現実に交付したのは444万円余であった。定期預金や定期積金の掛金には、本件債権を担保するため質権が設定された。さらに本件貸付の条件として、本件貸付と同時にYはXに対して400万円を貸し付け(本件別口貸付)、これを全額Yにおいて割増金付定期預金とし、本件別口貸付の担保として差し入れた。YがXに対して有する貸付債権一切を担保するため、複数の根抵当権と連帯保証が設定された。¶001