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事実の概要

X(和光堂―原告・上告人)が、卸売業者や販売業者に対して、自社の育児用粉ミルクに係る再販売価格の拘束を行った。これが不公正な取引方法(旧一般指定〔昭和28年〕8)に該当し独禁法19条に違反するとして、公取委(被告・被上告人)が排除措置を命じた(公取委審判審決昭和43・10・11審決集15巻98頁)。Xはこれを不服として審決取消訴訟を提起したが、東京高裁が請求を棄却したため、最高裁に上告したのが本件である。¶001

本判決のうち現行法の下でも特に重要なのは、①「拘束」および②「正当な理由」の解釈に係る判示である。このうち①に関する事実関係は、以下のとおりである。Xは、自らが販売する育児用粉ミルクの各商品について、自らの指定した価格を維持するため、(1)小売業者については登録制をとり、指定価格を守らなかったときは登録を取り消すこと、(2)卸売業者については、指定卸売価格を守らず、または登録小売業者以外の小売業者と取引したときは、卸売業者が得べき中間利潤となっていたリベート(感謝金)額の算定につき不利益措置をとること、(3)卸売業者の販売価格および販売先を確認するために、流通経路を明らかにさせること、等の販売対策を決定し実施していた。¶002