FONT SIZE
S
M
L

事実の概要

(1)

Y(被告・控訴人)は訴外Aの子会社であり、A製エレベーターの保守点検業等を営み、かつ、A製エレベーターの保守部品を事実上独占販売している。エレベーターの保守点検分野にはメーカー系保守業者と独立系保守業者が存在し、Yは業界第3位である。¶001

(2)

[甲事件]X1(原告・被控訴人)は、A製エレベーター(甲事件エレベーター)が設置されたビルを所有し、独立系保守業者訴外Bと保守契約を締結している。甲事件エレベーターが故障し、Bから部品の交換が必要であると判断されたX1が、Yに部品を注文したところ、Yは、「保守部品のみの販売はしない。部品の取替え、修理、調整工事をYに併せて発注するのでなければ、注文に応じない。右工事費用はX1が負担する。注文部品の納期は、……3か月先である」旨を回答した。2日後、甲事件エレベーターが再び故障し、X1は、独立系保守業者訴外Cに応急修理を依頼した。その後、X1はYに部品の供給を催促し、部品のみの納入を求めたが、Yは部品を供給しなかった。¶002