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事実の概要

X(原告―東宝(株))は、映画の製作配給、映画演劇その他の興行を事業とするものである。A(スバル興業(株))は、映画その他の興行、映画配給等を事業とし、東京都千代田区有楽町に所在するスバル座とオリオン座の2劇場(以下、2館)を所有していた。Xは、Aと劇場の共同経営に関する契約(以下、本件契約)を締結して2館の賃借を行うこととし、Y(被告―公取委)に営業の賃借(当時の独禁法16条3号。現行法では事業の賃借〔16条1項3号〕)の届出を行った(現行法では事業の賃借の届出は不要である)。Yは、本件契約について、営業の重要部分の賃借に当たるとした上で、「丸の内、有楽町界隈……における映画興行を以て……『一定の取引分野』と見るべきであり、……本件契約の実行により競争の制限を受ける映画興行館の数は、右区域に存する合計10館のうち8館に達し、定員数においては90.4%に達するのであるから、右は競争の実質的制限と見るに十分であ〔る〕。……仮に、東京都興行組合銀座支部の管轄区域を以て一定の取引分野と見るも、合計20館中の8館、定員数において57.9%の競争が消滅することとなり、これに各映画興行館の施設の優劣、品格等諸般の情況を考慮するときは……同一の結論に達する」とし、本件契約が16条に違反するとして、Xに対して、①2館の賃借の禁止、②2館への経営関与の禁止等を命ずる審判審決を行った(昭和25・9・29審決集2巻146頁)。Xは審決の取消しを求めて本件訴訟に及んだ。¶001