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Ⅰ 前例のない弾劾裁判の展開

2024年4月3日、裁判官弾劾裁判所は仙台高裁のX判事に対する罷免判決を下した(令和3年(訴)第1号事件、官報号外令和6年5月2日第108号9頁〔LEX/DB 25599459〕。判例評釈として、土屋孝次〔本件判批〕TKC Watch憲法No.233〔2024年〕)。過去の弾劾裁判のうち直近の3事件は、児童買春、ストーカー行為、盗撮等の刑事事件での逮捕、起訴の結果有罪判決を受けており、罷免判決を予想しやすい事例であった。これに対して本件は、判決によれば、「裁判官がSNSを利用して憲法上の基本的人権である表現の自由を行使する場合、それを『国民の信託に背反する』と評価できるかという、前例のない重要な問題」が提起されていた。¶001