FONT SIZE
S
M
L
Ⅰ はじめに
21世紀にふさわしい地方自治の確立を高らかに謳った国会の「地方分権の推進に関する決議」(1993年6月3日衆議院、同月4日参議院)から31年の間、大規模な自然災害、経済危機、感染症の蔓延、そして人口の減少・偏在といった多様なリスクが顕在化し、それらはときに複合的に私たちを襲ってきた。¶001
私たちの生命・財産を守ることが国の本来的責務だとしたとき、地方分権改革を経た今の我が国の中央・地方関係や地方自治のあり方はどう評価できるだろうか。コロナ禍の教訓導出を経て国の指示権を拡充する改正地方自治法(2024年6月19日。令和6年法律第65号)が成立した今はまさに、これについて再考する好機と言える。¶002