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Ⅰ はじめに

企業の海外進出に伴う紛争発生の事例としては、契約関係にない第三者から不法行為等で訴えられる場合もあるものの、契約相手方の海外企業との間で紛争になることが多い。そのような契約紛争は、基本的に契約上の紛争解決条項に則って解決することになる。¶001

日本企業同士の契約では日本の裁判所で紛争解決する旨の条項を入れることが多いが、海外企業との紛争で裁判を利用するには後述する様々なハードルがあるため、海外企業との契約では仲裁条項を入れることが非常に多い(仲裁1)とは、当事者間の合意に基づき第三者である仲裁人が下す仲裁判断に服するという裁判に代わる終局的な紛争解決手段である)。しかし、契約交渉力の問題等から、海外企業との契約で相手国での裁判を紛争解決手段として求められることもあり、また、日本の裁判所を指定して解決したいと考える日本企業も存在する。¶002