FONT SIZE
S
M
L

Ⅰ はじめに

1 本稿の目的

令和6年3月、「AIと著作権に関する考え方について」(文化審議会著作権分科会法制度小委員会。以下「考え方」という)が公表され、大きな議論を呼んでいる。この「考え方」は、AIと著作権の問題を考えるに当たって法改正をすることなく現行法の解釈の1つを示したものである。したがって、既存の著作権法及びその従来の解釈との整合性を考慮した上で、検討することが必要である1)¶001

本稿は、従来の著作権法の解釈との整合性を検証しつつ、「考え方」に基づく著作権侵害訴訟における主張立証の在り方の整理を目的とするものである。著作権侵害については、これを生成・利用段階の責任(後記)と、開発・学習段階の責任(後記)とに分けて検討する必要がある。また、AI生成物の著作物性についても検討する(後記)。¶002