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事実

被告人は、就寝中の被害児童(当時10歳)に対する(令和5年刑法改正前の)強制わいせつ、強制性交等及び同未遂の各犯行の機会に同児童に児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律(以下「児童ポルノ法」という)2条3項各号のいずれかに掲げる姿態をとらせ、これをひそかに撮影するなどして児童ポルノを製造した。¶001

検察官が上記各行為を児童ポルノ法7条5項の製造罪(「ひそかに……児童ポルノを製造」した罪)で起訴したのに対し、第1審判決(神戸地姫路支判令和5・3・23令和4年(わ)第640号)は同罪の成立を認め、原判決(大阪高判令和5・7・27判タ1519号208頁)もこの結論を是認した。これに対して弁護人は、原判決の判断は、児童に対する性犯罪の犯行の機会に同児童に姿態をとらせ、これを撮影するなどして児童ポルノを製造した場合には、児童が就寝中等の事情により撮影の事実を認識していなくても、児童ポルノ法7条4項の児童ポルノ製造罪が成立し、同条5項は適用されないとした高裁判例(大阪高判令和5・1・24判タ1512号136頁)に反するとして上告した。¶002