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はじめに
2023(令和5)年12月6日に、官報の発行に関する法律(以下「官報電子化法」という)が成立した。しかし、1999(平成11)年からインターネット版官報が既に発行されており、官報の「電子化」と言っても、正本の地位が紙から電子版になるだけのように見える。そして、それだけのことであれば、立法も不要であるようにも思われる。¶001
官報は、1883(明治16)年に創刊され、1907(明治40)年の公式令(明治40年勅令第6号)によって法的根拠が整備されていた1)。しかし、第二次世界大戦後の1947(昭和22)年に、日本国憲法施行とともに公式令が廃止され、法的根拠が失われたものの、官報による法令の公布は継続し、行政法における「慣習法」の重要な一例として位置づけられてきた2)。そこで、電子化を契機として、官報を誰が編集・発行するか、何を掲載するか、どのように発行することで従来慣習法上認められてきた法的効果を維持するかが改めて問題になったのである。¶002