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((3)より続く)¶001

Ⅲ 色彩の商品等表示としての保護

1 プレゼンテーション

山本では、各論に入ろうと思います。各論は、大きく、色彩の商品等表示としての保護と、シリーズ商品の商品等表示としての保護という2パートになっております。¶002

色彩に関しましては、ご案内のとおり、商品等表示としての保護のあり方について議論があるところかと思います。古くはオレンジ戸車事件判決1)の抽象論において、「もとより、色彩の使用は原則として自由である」と述べられ、しかしながら、セカンダリーミーニングは獲得しうるのだということが付言されておりました。また、It’s事件では、より踏み込んだ説示がなされまして、まず第1審2)は、色彩枯渇論に基づいて、単色の色彩について保護適格性を否定する判示をなしていたところでございます。また、需要者は色彩にのみ着目していないといったことに基づいて、出所表示機能も否定しており、抽象論においては、オレンジ戸車事件よりも保護に否定的な立場を示されていたところです。これに対して、It’s事件の控訴審3)におきましては、第1審ほど厳しい立場はとっておらず、商品等表示としての保護可能性があることは否定できないとしつつも、やはり自他識別機能を生じることは多くないといったことであるとか、独占適応性の問題にも言及した上で、単一の色彩が不正競争防止法で保護される場合について、当該色彩とそれが施された商品との結びつきが強度なものであることを前提に、以下の4つの考慮要素を提示し、これを前提とする限り、色彩の枯渇は必ずしも大きな問題にならないなどとされました。その4要素とは、①当該色彩をその商品に使用することの新規性、特異性、②当該色彩使用の継続性、③当該色彩の使用に関する宣伝広告とその浸透度、④取引者や需要者である消費者が商品を識別、選択する際に当該色彩が果たす役割の大きさ等になりまして、こういったことを考慮して検討すべきだといったところを示されていたところかと思います。具体的な結論は、後ほどもお示しさせていただきますが、保護が否定された事案ではございました。¶003