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事実の概要
X(原告・控訴人・上告人)は、Y(被告・被控訴人・被上告人)に対し、遺留分減殺を原因とする不動産の所有権一部移転登記手続を求める訴えを提起した。Yは、適式な呼出しを受けたにもかかわらず、第1審の第1回口頭弁論期日に出頭せず、答弁書その他の準備書面も提出しなかった。本件は、第1審においてA裁判官によって審理されていたところ、A裁判官は、上記期日において口頭弁論を終結し、判決言渡期日を指定した。ところが、上記の指定に係る判決言渡期日において、上記口頭弁論に関与していないB裁判官が、民訴法254条1項により、判決書の原本に基づかないでXの請求を全部認容する第1審判決(以下「本件第1審判決」という)を言い渡した(和歌山地判令和3・6・16民集77巻3号808頁参照)。これに対して、Xは、本件第1審判決には民訴法249条1項に違反する判決手続の違法があり、これは再審事由(民訴338条1項1号)にも当たるなどとして、本件第1審判決を取り消し、改めてXの請求を全部認容する旨の判決を求めて控訴をした。¶001