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事実関係は必ずしも明らかではないが、上告趣意によれば、被告人は第1審で罰金刑の言渡しを受けたところ、検察官が量刑不当を理由に控訴し、控訴審は原判決を破棄して禁錮刑を言い渡した。被告人は検察官による不利益上訴は憲法39条に違反すると主張して上告した。

「元来一事不再理の原則は、何人も同じ犯行について、2度以上罪の有無に関する裁判を受ける危険に曝さるべきものではないという、根本思想に基くことは言うをまたぬ。そして、その危険とは、同一の事件においては、訴訟手続の開始から終末に至るまでの一つの継続的状態と見るを相当とする。されば、1審の手続も控訴審の手続もまた、上告審のそれも同じ事件においては、継続せる一つの危険の各部分たるにすぎないのである。従って同じ事件においては、いかなる段階においても唯一の危険があるのみであって、そこには二重危険(ダブル、ジェパーディ)ないし二度危険(トワイス、ジェパーディ)というものは存在しない。それ故に、下級審における無罪又は有罪判決に対し、検察官が上訴をなし有罪又はより重き刑の判決を求めることは、被告人を二重の危険に曝すものでもなく、従ってまた憲法39条に違反して重ねて刑事上の責任を問うものでもない……。」

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