((1)より続く)¶001
Ⅰ 不正競争防止法2条1項1号(承前)
2 類似性
(1) プレゼンテーション
山本続きを始めさせていただきます。まず類似性なのですが、類似性の抽象的な判断基準につきましては、日本ウーマン・パワーの最高裁判決1)において、「取引の実情のもとにおいて、取引者、需要者が、両者の外観、称呼、又は観念に基づく印象、記憶、連想等から両者を全体的に類似のものとして受け取るおそれがあるか否か」という規範が示されているところかと存じます。この事件の具体的な当てはめを参照しますと、原告表示が「マンパワー・ジャパン株式会社」、同じような事業を営む被告表示が「日本ウーマン・パワー株式会社」という事実関係につきまして、各表示の要部である「マンパワー」と「ウーマン・パワー」を比較して、「マン」が「ウーマン」を包摂する語として知られていることなどを勘案した上で、類似性肯定という帰結が導かれておりました。そうしますと、当てはめまで参照する場合には、原告の商品等表示が被告の商品等表示を包摂しているか否かという観点が問題とされているというふうに読むことも可能であるように思われます。¶002