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Ⅰ イントロダクション

本稿が取り組む課題は、「芸能人」と「誹謗中傷」1)との関係こそ主軸ではあるが、そこには2つの問題を見いだせる。第一の問題は、そこで言う「芸能人」とは現代のデジタルメディア環境においてどのような立ち位置にあるのかという点である。第二の問題は、現代の誹謗中傷問題の主戦場となりつつある「SNS」という空間が、どのような性質を有する場(プラットフォーム)であるのかという点である。表現の自由のもっとも重要な機能である民主的な世論形成との関係で考えれば、後述する通り「芸能人」は2つの「顔」をもつ。さらにSNSという空間には「極端な意見」が過剰に目立つ特性もある。本稿は、デジタルメディア環境下における「芸能人」の特殊な立ち位置を踏まえ、憲法及びメディア法の観点から、より民主的な世論形成を支える空間の制度設計を模索する。¶001