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事実
株式会社X銀行(原告・控訴人・被上告人)は、英領ケイマンの完全所有子会社であるS1社とS2社(以下、「S1/S2」)から劣後ローンにより資金調達を行っていた。S1/S2は、ケイマンの別のグループ会社であるMに優先出資証券を発行して資金を得ていた(Mも投資家向けに優先出資証券を発行していた)。S1/S2は、タックス・ヘイブン(以下、「TH」)対策税制(租特〔平成28年法律第15号による改正前。以下同じ〕66条の6第1項。以下、「本件法律」)上のXの「特定外国子会社等」(以下、「CFC」)に該当するため、S1/S2の所得(適用対象金額)のうち、Xの所有割合に応じた部分(課税対象金額)は、S1/S2の事業年度末の翌日から2月を経た日にXの収益とみなされる(合算課税)。所有割合は「請求権勘案保有株式等」割合といい、同項の委任命令(同法施行令〔平成29年政令第114号による改正前〕39条の16第1項。以下、「本件命令」)において、CFCが「請求権の内容が異なる株式等を発行している場合」は、当該株主が請求権に基づき受けうる剰余金の配当等の額の割合を意味し、CFCの「事業年度終了の時」の状況でこの割合が決められる(以下、「年度末現況基準」)。¶001