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事実

昭和34年から昭和59年までの間、在日朝鮮人及びその配偶者を対象として、朝鮮民主主義人民共和国(以下、「北朝鮮」)への集団帰還事業(以下、「帰還事業」)が実施された。X₁〜X₅は、帰還事業により北朝鮮に渡航し、長年を経て日本に戻った者である。Xらは、①Y(北朝鮮)が、Xらに対し、虚偽の宣伝をして北朝鮮への帰還を勧誘し(以下、「勧誘行為」)、Xらを北朝鮮へ渡航させ、留め置いたこと(以下、「留置行為」)が、Xらの自己決定権及び移動の自由を侵害し、Xらに対する不法行為を構成する(以下、「本件不法行為1」)、②Yが、現在も北朝鮮に居住するX₁の子や孫の出国を妨害しているために、X₁が子や孫と直接会うことができない状況が続いていることが、X₁の面会交流権を侵害し、X₁に対する不法行為を構成する(以下、「本件不法行為2」、本件不法行為1と併せて「本件不法行為」)と主張し、Yに対し、不法行為に基づく損害賠償を求めた。¶001