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市長の解職投票に際して、市長の解職に反対していた者たちが、投票獲得のため買収を企図し、共謀のうえ、選挙人らに対し現金を供与し、約10名がその供与を受けた。一審(水戸地判昭和54・5・29刑集〔参〕38巻6号2167頁)、二審判決(東京高判昭和56・3・3高刑集34巻2号302頁)は公職選挙法(以下、「公選法」という)221条(供与罪・受供与罪)の成立を認め、金銭の授受に係る被告人らを有罪としたため、被告人が上告した。本決定は上告を棄却したが、職権で「地方自治法81条2項による普通地方公共団体の長の解職投票においては、その運動の方法及び費用に関する制限が公職選挙法に規定する選挙の場合に比して緩和されているが、地方自治法85条1項により準用される公職選挙法221条1項1号、4号……の規定を右解職投票に適用するにあたっては、公職選挙法に規定する選挙の場合と異なる制限的な解釈をする理由はなく、いやしくも解職賛否の投票若しくは投票運動に対する報酬として金銭が授受されたときは、たとえその金銭に一部不可分的に費用弁償の趣旨が含まれていたとしても、その全体につき公職選挙法221条1項1号、4号所定の罪が成立する(最高裁昭和29年(あ)第1339号同30年5月10日第三小法廷判決・刑集9巻6号1006頁、同昭和43年(あ)第766号同43年7月25日第一小法廷決定・裁判集刑事168号635頁参照)」と判断した。

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