事実の概要
A市は公金を支出して、平成8年4月1日、A市立中学校を開校したため、同年6月28日、A市の住民であるXら(原告・控訴人・上告人)は住民監査請求(第1回監査請求)をしたが、市監査委員は、同年7月13日、Xらに対し、第1回監査請求が一般的な行政運営を対象としており不適法であることから却下する旨の通知をした。同年8月12日、Xらは再度の住民監査請求(第2回監査請求)をしたが、市監査委員は、第1回監査請求と内容が同一であるため一事不再理の原則に従い却下する旨、同年9月5日付け書面をもって通知した。Xらは、同年10月3日、地方自治法(平成14年法律4号による改正前のもの。以下「法」)242条の2第1項4号に基づき、Y(被告・被控訴人・被上告人)によるA市長としての市立中学校建設のための公金の支出が違法であるとし、A市に代位してYに対し損害賠償を請求した。第1審(浦和地判平成9・4・21民集〔参〕52巻9号2056頁)は、第2回監査請求は第1回監査請求と同一の財務会計上の行為を対象とすることから、第2回監査請求は不適法であり、本件訴えに関する出訴期間は第1次監査請求を基準に決定すべきであるとした上で、第1回監査請求で市監査委員による監査または勧告が行われていないことから、法242条の2第2項3号により、第1回監査請求をした日から60日を経過した日から30日以内である同年9月26日までに住民訴訟を提起しなければならなかったが、本件訴えを提起したのは同年10月3日であり、出訴期間を徒過しているとして却下し、控訴審(東京高判平成9・11・13前掲民集〔参〕2062頁)もXらの控訴を棄却した。Xらが上告した。¶001