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Ⅰ 改正の経緯
本2023(令和5)年6月9日、第211回国会において「出入国管理及び難民認定法及び日本国との平和条約に基づき日本の国籍を離脱した者等の出入国管理に関する特例法の一部を改正する法律」(令和5年法律第56号)(以下「改正法」という)が成立し、同月16日に公布された。¶001
改正法案のベースは、2021(令和3)年2月19日の閣議決定を経て第204回国会に提出された改正法案にある。それは、第7次出入国管理政策懇談会の下に2019(令和元)年10月に設置された「収容・送還に関する専門部会」における退去強制手続の在り方に関する検討結果(報告書「送還忌避・長期収容問題の解決に向けた提言」〔令和2年6月〕)を踏まえて作成されたものであったが、審議入り直前の2021年3月に名古屋出入国在留管理局の収容施設内で、被収容者のスリランカ人女性の死亡事件が発生したことなどから、当該法案は取り下げられ廃案となった。法案審議の際の指摘や意見を踏まえ、修正を加えた改正法案が、本2023年の第211回国会に提出されるという経緯を辿った。衆議院における与野党間の修正協議を経て、一部の条文案について修正を加え、また参議院においても附帯決議がなされた上で、改正法は成立・公布に至った。¶002