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事実の概要

Y(抗告人―昭和39年生)は、A(昭和32年生)と平成2年に婚姻し、B(平成3年生)とC(平成10年生)をもうけた。その後、Yは平成12年1月1日にD(事件本人)を出産したが、AはDがYと自分以外の男性の間の子であるとして、Dを特別養子に出すことに積極的であった。他方、Yは、当初からDを特別養子に出すことには消極的であったが、実父母の説得もあって渋々これを承諾した。こうしてDは里親会の仲介で同月24日にX夫婦(相手方)のもとに預けられた。その後、DはX夫婦とその子およびX夫婦それぞれの母とともに順調に監護養育され、X夫婦に健康面および生活面で特に問題は見られない。他方、YとAは、D出生当時から事実上の別居状態にあり、Aは他県へ単身赴任をし、YはAの持家にBおよびCと同居して音楽教師等として稼働していたが、A帰宅の際には一人で実家に帰るという生活をしていた。Yは平成13年9月27日に家裁調査官に対して本件特別養子縁組に同意しない旨を伝えるとともに同意撤回書を作成・送付し、同年12月3日に受理された。X夫婦によるDを特別養子とする旨の申立てに対して、原審(長野家松本支審平成14・9・27)は、Y・Aによる監護の可否、Yによる監護の適否等について検討した上で、本件特別養子縁組についてYの同意はないものの、Yが安定した監護環境を用意せず、かつ明確な将来計画を示せないままに将来のDの引取りを求めることは、いたずらにDの生活を不安定にし、Dの健全な成長に多大な悪影響を及ぼすものといえるから、本件については民法817条の6但書の事由があり、さらに、同法817条の7等の要件も満たしているとして、X夫婦の申立てを認容したが、これを不服としてYが即時抗告した。¶001