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事実の概要

X(妻―原告・控訴人・上告人)と亡A(夫)は婚姻関係にあったが、Aが病気で倒れ収入の途が絶たれたため、生活保護金を受給し、Xの収入と合わせて、家族(2人の子を含む)の生活費とAの療養費にあてていた。ところが、市の担当者から、Xの収入は保護金から差し引かれるべきであり、当該収入の届出をしないと不正受給になる旨を告げられ、XとAは、従前の不正受給額の返済を免れ、かつ従前と同額の生活保護金の受給を続けるための方便として、離婚の届出をなした。Xは届出後も実質上はAと夫婦であると思い、A死亡後もAの債務を支払い、Aの遺骨も引き取り、法要も主宰した。本件は、XからY(検察官―被告・被控訴人・被上告人)に対する、前記事情によってなされたX・A間の離婚の無効確認請求である。なお、本件請求は、Aの損害賠償請求権をXが相続することを可能とするためのもののようである(裁判所による認定はなく、第1審におけるYの主張による)。¶001