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民法判例百選Ⅰ・Ⅱ[第8版]、同Ⅲ[第2版]が刊行されて、5年になる。その間、民法に関しても、相続法分野、成人年齢、物権法分野、親族法分野など、多くの法改正が行われた。また、いくつかの重要な判例も登場した。これらによって、採録判例を見直すとともに、従前から採録されていた判例であっても、その位置付けが変化していないかを検討する必要が生じた。そこで、全体を再検討の上、改訂版を刊行することとした。

編集方針は民法判例百選Ⅰ・Ⅱの初版以来のものを踏襲している。つまり、「民法典の欠缺を埋める判決や、民法典を実質的に修正している判決を取り上げることによって、条文だけからは捉えることの不可能であるかまたは困難であるところの民法の現実の姿を示すこと」を中心としつつ、「有名な判決は、ある程度取り上げること」である。このとき、最新の判決を取り上げたとは限らない。民法判例百選Ⅰ・Ⅱ[第6版]の「序」に示したように、判例法理の形成にあたって基礎となった判決を重視している。また、民法の改正によって削除あるいは大幅に変更された条文に関する判決についても、多くは採録を継続している。従前の判例が法改正によってどのような影響を受けるのかを理解すること、すなわちその位置づけや意義についてどのような変更が生じるのか、あるいは、判例の中で維持される部分はどこであり、維持されない部分はどこなのかといったことを具体的に把握することが、民法を学習するにあたって重要であると考えたからである。

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